(写真:日本一富士山がきれいに見える東名高速道路富士川SAから撮影)
みなさん、オーケストラの「指揮者」は、どのような役割をしているか知っていますか?
2024年冬ドラマ、日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』が放送されていますね。主演の西島秀俊さんが演じている「指揮者」。今回は、指揮者の役割と必要な能力について解説します。
『さよならマエストロ』が紡ぐ感動のストーリー
ドラマのストーリーは、ある事件で家族も音楽も失った、西島秀俊さん演じる天才指揮者と、芦田愛菜さん演じる父を拒絶し音楽を嫌う娘が、地方オーケストラを通して親子の絆と人生を再生させていく愛の物語です。
このドラマは、原作がないですのでわかりませんが、廃団が決まった市民オーケストラと失われた家族の絆を、音楽の力を通じて、再生していく展開となりそうですね。
ただ、題名が「さよなら~」ですので、ハッピーエンドで終わらない可能性もありますよね。
私の大好きな音楽ドラマ「のだめカンタービレ」に続く、ヒット作になりそうな予感がします。このような音楽ドラマは、ストーリーの盛り上がる場面や展開などでクラシックの名曲がふんだんに使われており、クラシックをより身近に感じさせてくれます。時には、こころが揺さぶられ、涙が溢れだす。音楽の力は本当にすごいですね。
日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』ですが、まず、サブタイトルにある「アパッシオナート」とは、音楽用語で「感情的に、激情的に」を意味する発想記号のひとつです。
ちなみに、『のだめカンタービレ』の「カンタービレ」とは、こちらも音楽用語で「歌うように、なめらかに、表情豊かに」を意味する発想記号です。
ドラマ『さよならマエストロ』は、地元、富士市がドラマのロケ地となっており、ドラマの内容もさることながら、見慣れた景色が出てくることもあり、毎週、楽しんで観ています。TAKASEピアノ教室の発表会の会場として使用している「富士ロゼシアター」も、ドラマの中で重要な役割を果たすロケ地となっていますね。実は、今日、「富士ロゼシアター」前を車で通過したのですが、お祭りのシーン⁈と思われる撮影をしていらっしゃいました。
富士市のロケ地としては、富士ロゼシアターの他に、岩本山の茶畑、天間の山本橋など富士市内の各地で撮影が行われているようです。
オーケストラの指揮者って、どのような役割をしているの?
主演の西島さんが演じている指揮者。ステージの中心で、指揮棒を振っている姿は容易にイメージできますが、実際に指揮者とは、どんな役割を担っているのでしょうか。
ドラマの題名にもなっている「マエストロ」とは、音楽・芸術分野においての指導者的立場の人や名人のことを意味する敬意を表す言葉です。
そのことからも、指揮者は、オーケストラや合唱団の舞台で音楽の「マエストロ」として活躍する芸術家といえます。
指揮者の仕事は、演奏者に対して音の指示やリーダーシップを発揮し、全体をまとめることにあります。コンサート本番での演奏をコントロールすることはもちろんですが、リハーサルで音楽のイメージを伝え、曲の演奏の全体像を作り上げ、本番に向けて演奏を作っていく事前準備がとても重要な仕事です。
演奏会本番までのリハーサルの期間は、プロオーケストラですと、本番前の2、3日程度、アマチュアオーケストラですと、例えば、週1回の練習を数か月など決められた期間で音楽を仕上げていきます。
指揮者は、このリハーサルの期間に、自分の楽曲に対するイメージや音と実際の演奏者の出している音とのずれを修正する作業をしていきます。こうしてリハーサルで完成した音楽を、演奏会本番では身振り手振りや表情を使って奏者に伝えているんですね。そう考えてみると、指揮者の仕事はリハーサルで9割といわれることがありますが、納得できますよね。
NHK交響楽団桂冠名誉指揮者であり、アメリカ生まれの スウェーデン人世界的指揮者「ヘルベルト・ブロムシュテット」氏が語ったお話があります。
「私は基本的に2つの理念を持っています。1つめは可能な限り周到な準備をすることです。そのために何週間も何ヶ月も、場合によっては何年も熱心に勉強する必要があります。私は初回のリハーサルまでに楽譜をすべて頭に入れています。2つめは肉体的、精神的に最良の状態に維持することです。つまり良き食習慣を維持し、有害なものは避ける。十分に体を休め、十分な運動をする。そうすることで、目の前にある仕事に集中することができます。」
みんなのN響アワー|NHK交響楽団 教えて、指揮者のみなさん。#2 ブロムシュテット(N響桂冠名誉指揮者)|「互いを尊重し合うことが、オーケストラという奇跡を生むのだ」
リハーサルや本番に向けて、指揮者として音楽や奏者と真摯に向き合うストイックな姿勢が伝わる言葉ですね。それだけ、指揮者には多くのものが求められているのでしょう。
指揮者に求められる能力とは?
常に、音楽に対しストイックな姿勢が求められる指揮者ですが、指揮者として求められる能力について考えてみたいと思います。
ドイツ人指揮者「クルト・トーマス」氏の名言。
「最初から、よくない合唱団があるわけでは決してない。――ただ、よくない合唱指揮者がいるだけである。」
合唱についてではありますが、指揮者に求められていることは非常に多きな部分を占めていることがわかる言葉ですね。
私も大学在籍中に、指揮に関わる講義を受けましたが、指揮者には、音楽や楽器に対する深い理解はさることながら、作曲家の意図をくみ取る想像力(想像力については、前回のブログ:【保存版】ピアノの音色の秘密を徹底解説!きれいな音色をピアノで奏でる秘訣とは?でお話しさせていただきました:クリックすると『前回記事』に移動します。)、演奏者たちの才能を引き出す指導力、そしてカリスマ性なども必要となります。
「のだめカンタービレ最終楽章(ヨーロッパ編)」では、千秋先輩が、指揮者コンクールに出場しましたね。
指揮者コンクールの一場面では、間違い探しと呼ばれるような課題が出され、オーケストラの演奏家にわざと間違えた音を演奏させ、その間違いを指摘するものがありました。その場で音を聞き取る能力や、ズレている音を指摘して正す能力が試さるものですが、まさにこの修正作業を、プロオーケストラですと、短いリハーサル期間で行っていく必要があります。
何段にも分けて書かれた楽譜の音を同時に読み取る能力、膨大な音楽に対する知識量がないとできないことがわかりますね。
まとめ
指揮者には、音楽に対する様々な能力や膨大な知識が必要であることがわかったと思います。
著名な指揮者が、「指揮者の最も大事な仕事はリハーサル(合奏練習)をリードすることだ。リハーサルは、リードするものであって、オーケストラを「指導」するのではない。ましてやオーケストラを自分の思いどおりに「演奏させる」ことでもない。」と語ります。
ただ、音楽の知識がある、音楽の才能があるだけでは名指揮者にはなれません。百戦錬磨のオーケストラ演奏家から信頼を得るためには、常人以上のカリスマ性と人間性が求められることでしょう。
まさに、指揮者は舞台での魅力的な存在であり、オーケストラや合唱団の顔とも言えますね。
『さよならマエストロ』
毎週、ドラマ内では、クラシックの名曲が使用されているので、音楽にかかわる部分も意識しながら、どんなストーリーへと展開していくのか楽しみです。
『さよならマエストロ』使用クラシック曲一覧
第一話
- 交響曲第5番「運命」 第1楽章(ベートーヴェン)
- 交響曲第5番「運命」 第4楽章(ベートーヴェン)
- ポルカ「狩り」(ヨハン・シュトラウス二世)
- 交響曲第3番「ライン」 第1楽章(シューマン)
- 行進曲「国民の象徴」(バグレー)
第二話
- 歌劇「ウイリアム・テル」序曲(ロッシーニ)
- 交響曲第5番「運命」 第4楽章(ベートーヴェン)
- エンペラーワルツ(ヨハン・シュトラウス二世)
- ハバネラ(歌劇「カルメン」から)(ビゼー)
- サラバンド(無伴奏チェロ組曲第6番から)(バッハ)
- ガヴォットⅠ/Ⅱ(無伴奏チェロ組曲第6番から)(バッハ)
- バイオリン協奏曲 第2楽章(メンデルスゾーン)
第三話
- 交響曲第6番『田園』 第1楽章(ベートーヴェン)
- 交響曲第6番『田園』 第4楽章(ベートーヴェン)
- 交響曲第6番『田園』 第2楽章(ベートーヴェン)
- 歌劇「ウイリアム・テル」序曲(ロッシーニ)
- バイオリン協奏曲 第2楽章(メンデルスゾーン)
- バイオリン協奏曲 第1楽章(メンデルスゾーン)
第四話
- バイオリン協奏曲 第1楽章(メンデルスゾーン)
- 交響曲第6番『田園』 第1楽章(ベートーヴェン)
- 歌劇「セビリアの理髪師」序曲(ロッシーニ)
第五話
- バイオリン協奏曲 第2楽章(メンデルスゾーン)
- 歌劇「セビリアの理髪師」序曲(ロッシーニ)
- エンペラーワルツ(ヨハン・シュトラウス二世)
第六話
- ハバネラ「カルメン」第2組曲から(ビゼー)
- 間奏曲「カルメン」第1組曲から(ビゼー)
- 闘牛士「カルメン」第1組曲から(ビゼー)
- プシーの踊り歌劇「カルメン」第2組曲から(ビゼー)
- きらきら星変奏曲(モーツァルト)
- ナイチンゲール(J.ドンジョン)
- 歌劇「ウィリアム・テル」序曲(ロッシーニ)
第七話
- 交響曲第3番「ライン」 第1楽章(シューマン)
- 交響曲第5番『運命』 第4楽章(ベートーヴェン)
- 交響曲第6番『田園』 第1楽章(ベートーヴェン)
- 歌劇「セビリアの理髪師」序曲(ロッシーニ)
- ジプシーの踊り歌劇「カルメン」第2組曲から(ビゼー)
第八話
- 交響曲第9番「新世界より」 第2楽章(ドボルザーク)
- 交響曲第9番「新世界より」 第1楽章(ドボルザーク)
- 交響曲第9番「新世界より」 第4楽章(ドボルザーク)
- きらきら星変奏曲
- 「ペール・ギュント」第1組曲から(グリーグ)
- 「ウイリアム・テル」序曲(ロッシーニ)
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